雑記
2026/08/23(Sun)民泊利用も見据えた、豪雪地帯で暖かく暮らす木の家
設計実績
こちらのお家は、個人住宅としての暮らしを基本にしながら、民泊としての利用も見据えて計画した木造住宅です。

周囲の自然に対して大きく開き、庭と室内を緩やかにつなぐ一方で、豪雪地帯という地域特有の気候にもきちんと向き合っています。
有建築設計舎が大切にしたのは、開放感のある住まいと、寒い季節にも快適に過ごせる室内環境を両立させることです。
豪雪地帯だからこそ、断熱をしっかり考えます
雪深い地域の住宅では、デザインや間取りと同じくらい、建物の断熱性能が重要です。
外が厳しい寒さになったとき、せっかく室内を暖めても、その熱が外へ逃げやすければ快適な環境を保ちにくくなります。
そこでこの住まいでは、建物全体の断熱をしっかりと計画しています。
さらに窓にはトリプルガラスを採用しました。
窓は室内と屋外をつなぎ、景色や光を取り込むために欠かせない存在です。その一方で、冬には熱が逃げる経路にもなります。
だからといって、寒い地域だから窓を小さくすればよいとは私は考えていません。
どこから光を取り入れるのか、どこから景色を楽しむのか、そして室内の暖かさをどう守るのか。それぞれを考えながら窓を計画することが大切です。

大きな開口とトリプルガラス
庭に面した部分には大きな開口を設けています。
室内から庭へ視線が抜け、建物の内と外が自然につながる構成です。軒下の空間を介して庭へつながることで、室内だけで暮らしが完結しない住まいを目指しました。
大きな窓を設けながら、ガラスにはトリプルガラスを採用しています。
開放感を求めて窓を大きくすることと、断熱性能を高めることは、どちらも快適な住まいをつくる上で大切です。
有建築設計舎では、デザインだけ、性能だけと切り分けるのではなく、両方をひとつの住まいとして考えています。
多治見・名古屋・岐阜で木造住宅を設計する場合にも、窓の大きさや位置、方角、軒との関係は重要です。地域の気候や敷地条件を読みながら考えることが、パッシブデザインの基本になります。
深い軒がつくる、室内と庭の間の居場所
外観を印象づけているのが、横方向へ大きく伸びる屋根と深い軒です。
軒をしっかりと出すことで、建物と庭の間にもうひとつの居場所が生まれます。
室内、軒下、庭と段階的につながることで、建物の輪郭だけでは語れない広がりを感じられる構成になります。
また、軒は外観を整えるためだけのものではありません。
太陽高度が高くなる季節には強い日差しを遮り、太陽高度が低くなる季節には光を取り入れるという考え方も、パッシブデザインでは重要です。
どの程度の軒を設けるのかは、建物の向きや窓の位置などを踏まえて検討する必要があります。
有建築設計舎は、こうした一つひとつの要素を意匠と性能の両面から考えています。

平屋のように伸びやかな外観
建物は水平方向への広がりを感じさせる構成としています。
低く伸びる屋根と軒、その下に連続する柱や開口部が、周囲の景観に対して穏やかな外観をつくっています。
木部の温かな表情と落ち着いた外壁、金属屋根を組み合わせることで、自然の中に馴染みながらも輪郭のはっきりとした住まいに仕上げました。
玄関側には縦格子を取り入れています。
大きな面として木を使う部分と、細かな格子として木を使う部分を組み合わせることで、同じ素材でも異なる表情をつくっています。
民泊利用も考えた住まいだからこそ
こちらのお家は、住まい手の日常生活だけでなく、民泊として利用することも想定しています。
民泊というと、宿泊する方のために特別な空間をつくることをイメージするかもしれません。
しかし有建築設計舎が大切にしたのは、まず住宅として心地よく暮らせることです。
住まい手が毎日快適に過ごせること。そのうえで、訪れる方にも自然や建築を楽しみながら心地よく滞在していただけることを考えています。
庭へつながる大きな開口や軒下の空間も、その心地よさをつくる要素のひとつです。
住宅と民泊をまったく別のものとして考えるのではなく、ひとつの建築として丁寧に整えることで、多様な使い方を受け止められる住まいになります。
地域の気候を読むことから始める家づくり
家づくりでは、断熱性能を示す数値や設備の性能も大切です。
しかし私は、それだけで快適な住宅が完成するとは考えていません。
太陽がどこから入るのか、軒でどのように日射を調整するのか、窓をどこに設けるのか。そして、その地域では夏と冬にどのような気候になるのか。
建物単体ではなく、敷地と地域の環境まで含めて考えることが大切です。
豪雪地帯には豪雪地帯に適した設計があり、多治見・名古屋・岐阜にも、それぞれの敷地や気候に合わせた設計があります。
有建築設計舎は、パッシブデザインを基本に、住まい手の暮らしと土地の条件をひとつずつ読み解きながら木造住宅を設計しています。
自然に対して開いた気持ちのよい住まいでありながら、寒い季節には室内の暖かさをしっかり守ること。
性能を理由にデザインを諦めるのでも、デザインを優先して快適性を犠牲にするのでもありません。
その土地だからこそできる心地よさを見つけ、建築として形にすることを大切にしています。
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