パッシブデザイン
パッシブデザインとは
パッシブデザイン
パッシブデザインとは、敷地環境を読み解き、期待できる太陽の熱や光、風といった自然の恵みを最大限活かせるようにすることで、小さなエネルギーで1年を通じて心地よく暮らせる住まいをつくる設計技術です。
パッシブデザインのメリット
特別な設備や材料は不要
特別な設備に頼らず、設計によってできるだけエネルギーを使わずに心地よい室内環境を作るので、特別な設備の初期費用やメンテナンス・故障時の費用がかかりません。
快適な自然室温の期間が長い
建物内への日射熱取得をコントロールすることで、自然室温(暖房冷房を運転しないときの室温)で快適に過ごせる時間が長くなります。
最小限の暖房冷房で光熱費を削減
猛暑時や厳寒時でも自然室温である程度快適に近い温度を維持できるので、暖房冷房の光熱費を抑えることができます。
健康的な室内温度の維持
人の健康と室内温度には深い関係があります。パッシブデザインでは適切な断熱性能と日射しのコントロールにより、出来るだけ設備に頼らずに少ないエネルギーで健康的な室内温度を維持できます。
自然の恵みを活かす4つのデザイン〜快適な室内と省エネルギーのバランス〜
冬の快適に繋がる熱のデザイン
断熱
主に冬の外の寒さに対して室内の暖かさを維持し続けるために大切な要素です。また、次の日射熱利用暖房を効かせるためには断熱性能が重要になります。そのため、有建築設計舎では断熱性能に関する設計基準を決めています。
日射熱利用暖房
外に逃げていく熱と外から得られる太陽熱のバランスをうまくとることで、暖房を抑えつつ暖かい室内を実現できます。さらに蓄熱を使うと、太陽熱を夜まで保持して安定した室温を実現できます。有建築設計舎では日射熱取得にかかわる設計基準を決めています。
夏の快適に繋がる熱のデザイン
日射遮蔽
近年の高断熱化と夏の高温化により、夏の室内は昔よりも高温になりやすい状況にあるので、夏の暑さ対策として日射遮蔽はとても重要な要素です。しかし冬の日射熱利用暖房と相反する面があるので工夫が必要です。有建築設計舎では日射遮蔽にかかわる設計基準を決め、同時に冬の日射熱取得と夏の日射遮蔽の両立を実現します。
春から秋にかけての心地よさに繋がるデザイン
自然風利用
断熱性能が高くなると春や秋でも室内で暑く感じるケースがあります。また、夏の夜に外気温よりも室温の方が高くなるケースもあります。しかし自然風利用により、涼しい外の風で屋内の熱を排出したり、体に風が当たる心地よさを感じたりすることができます。そのため、有建築設計舎では家に風を取り込む工夫と風を通す工夫を意識して窓や建物内の建具、間取りを考えています。
一年中大切な光のデザイン
昼光利用
日中はできるだけ自然光を使って室内の明るさを確保したいと考えています。そのためには家の中へ光を採り入れる工夫や、採り入れた光を家の奥まで届ける工夫を意識して窓や建物内の建具、間取りを考えています。
有建築設計舎とパッシブデザイン
弊社の考え
有建築設計舎ではパッシブデザインを日本の住宅設計における原理原則と考えています。パッシブデザインは、日本の四季の変化に伴い大きく変わる外部環境から室内で少しでも心地よく暮らせるように発展してきた、日本の昔の家の考え方と本質的に近いものがあります。
昔の住宅形態には、少しのエネルギーしか使えない中で、室内を少しでも心地よくするために培われた知恵や工夫がありました。しかし、現在はそれらを無視して設備でエネルギーを消費することに頼った住宅が多く見られます。
生活様式が変わっても、設備機器が進歩しても、まずは住宅そのもののあり方で室内環境が少しでも心地よくなる設計を行うことは、今も昔も変わらない大切なことです。
高断熱・高気密だけの設計では不十分だと考える理由
高断熱高気密の考え方は寒冷地である北海道から始まりました。高断熱高気密は室内の熱を外に極力逃がさない高い保温の効果を意味します。そのため、冬の寒さが厳しく夏も高温になりにくい地域においては、非常に重要な性能です。また、有建築設計舎が主に設計を行う比較的温暖な東海地域でも、一般的には暖房が必要になる期間が4・5ヶ月はあるので、高断熱高気密は冬の快適性と暖房エネルギーや暖房費の削減に寄与します。
しかし、同時に高断熱であることで夏の夜や秋にかけては室内が高温になりやすい傾向にあります。また、高断熱だけを求めた家は、断熱性能の弱点となる窓が小さい家になりやすく、そのため冬に太陽の熱を取り込み室温に活かすことが難しくなります。
一年を通して小さなエネルギーで心地よく暮らす住まいをつくるには、高断熱高気密だけでは不十分なのです。
パッシブデザインの効果を左右する大切なこと
敷地の周辺環境
太陽の熱や光や風は敷地周辺の環境、特に近隣建物などの影響を受けます。そのため、パッシブデザインでは、近隣の建物が敷地に与える影響や、空き地に将来建つ建物の影響も想定して設計することが、重要です。
有建築設計舎では、設計をはじめる前の周辺環境も含めた現地調査と分析を大切にしています。また、敷地選びの段階からお手伝いさせていただくこともあります。
暮らし方
パッシブデザインの住まいは季節などの自然の変化に合わせた暮らし方をすることで、より自然の恵みを室内環境に活かすことができます。その考え方とコツはシンプルで簡単なので、どなたでも自然の変化を感じながら暮らしを楽しんでいただけます。
有建築設計舎では、家を建てた後も末永いお付き合いの中で、そんな暮らし方のアドバイスもさせていただきます。