雑記
2025/12/08(Mon)岐阜の山あいに佇む平屋の木造住宅
施工実績
こちらのお家は、岐阜の山間部に建つ平屋の木造住宅です。

雄大な山々が連なる背景に対して、建物が静かに馴染み、敷地全体がひとつの景観として成立しています。
この土地が持つ自然の魅力を損なうことなく、建築と外構を丁寧に整えた姿勢に評価をいただき、景観デザイン賞をいただきました。
外観は落ち着いた色味でまとめられ、木材の柔らかさが建物に温かみを添えています。
夕刻になると軒下からこぼれる灯りが外構に広がり、屋内と屋外がつながるような雰囲気が生まれます。
テラスに設けられた椅子や植栽が穏やかな時間を演出し、住まい手が自然と寄り添って暮らす情景が想像できます。

岐阜の山間部は積雪がある地域であるため、冬季の生活を見据えた設計が求められます。
また、建物まわりの動線がゆったりと確保され、季節の影響を受けにくい配置計画になっています。
雪の日でも無理なく移動できる余白が確保されていることは、山間部の暮らしにおいて非常に大切な要素です。
母屋の前には広い外構空間が広がり、芝や植栽が山の風景と自然につながっています。
敷地全体にゆとりがあることで、訪れる方にも安心感と開放感が生まれます。
民泊としての利用を視野にしている点でも、この余白は非常に有効で、来訪者がこの地の魅力を十分に感じながら過ごせる環境になっています。
平屋という構成は、岐阜の気候風土とも相性が良く、パッシブデザインとしても効果を発揮しやすい形式です。
軒の深さは夏の直射日光を和らげ、冬は低い日射角度を取り込みやすくするため、季節による温熱環境の変化を自然に調整する役割を果たします。
今回の住まいでも、その設計思想が建物全体に通底している印象があります。
外構の素材選びにも落ち着きがあり、石や植栽が丁寧に配置され、舗装エリアと緑のエリアが滑らかにつながり、母屋へ続くアプローチに奥行きが生まれています。
夕景の中で浮かび上がる建物の佇まいは、訪れる人に安心感を与え、静かな時間を過ごせる場所であることを感じていただける作りとなっています。
民泊を視野に入れた住まいは、住まい手だけでなく、地域の魅力を外へ開く役割も担います。

岐阜の山あいという立地は、自然を求める方にとって特別な体験を生む場所です。建物の静けさ、外構の柔らかさ、山の稜線の美しさが相まって、この土地ならではの滞在価値を高めています。
岐阜・多治見・名古屋エリアで木造住宅をご検討の方にとって、この平屋の住まいは、自然との付き合い方やパッシブデザインの考え方を知る良い参考になるはずです。
景観を損なわず、暮らしやすさを丁寧に積み重ねた住まいは、これからの家づくりにおいて大切な視点を示しています。
2025/12/01(Mon)築150年の住まいをリノベーション。古材の魅力と現代の暮らしをつなぐ対話型キッチン
施工実績
築150年の古民家をフルリノベーションしたこちらのお家では、キッチンをダイニングスペースに面して配置する事で家族の団欒や会話が生まれるデザインにしています。

大きなカウンターは調理のしやすさだけでなく、家族が対面できる配置で、コミュニケーションが自然に生まれます。
例えば、夕飯を作りながら子どもが宿題をしたり、夫婦で軽くコーヒーを飲んだり、友人を招いても会話が途切れない。
そんな時間が想像できる空間です。
少し前まで、キッチンは壁付で壁を向いた配置設計が一般的ですが、こちらはキッチンに立つ人が孤立しないようになっています。
昔の家の魅力である“広い間取り”や“続き間のつながり”はそのままに、現代の生活のリズムに合わせてキッチンを再構築しています。
こうしたアプローチは、リノベーションならではのメリットと言えます。

木は視覚的にも温度を感じやすく、柔らかく落ち着いた雰囲気をつくります。
家族が長い時間を過ごす場所だからこそ、こうした素材の選び方は重要です。
また、木は光の受け方で表情を変えます。
日中の自然光、夕方の照明、夜の落ち着いた灯り。
それぞれの時間でキッチンとリビングの雰囲気が微妙に変化し、暮らしの“質感”が豊かになります。
多治見・名古屋・岐阜といった地域では、夏の暑さ対策や冬の冷え込み対策として、パッシブデザインがとても効果的です。
木を適切に使い、風の通り道や光の入り方を設計することで、エアコンに頼りすぎない快適性をつくることができます。
古い建物に住み続ける上で大切な事の1つは耐震性ですが、現代の基準に合わせた金物補強、荷重バランスを整える壁の配置、建物の揺れを抑えるための構造計画、などを行うことで、古民家でも安心して暮らせる住まいになります。
設計相談の際には、
「古い家の良さを残したい」
「どこまで補強できる?」
といった声をよくいただきますが、“古材と現代の設備が自然に同居する”空間がつくれると、リノベーションの可能性は一気に広がります。
古さをそのまま残すのではなく、住まい手が心地よく暮らせるよう丁寧に整えたデザインを考えます。

築150年の梁、開放的なキッチン、木の温度感、対話の生まれるレイアウト。
それらが自然に調和し、豊かな暮らしを引き出しているように考えました。
古材の魅力を活かしながら、現代の暮らしへと丁寧につなげていく。
そんな住まいづくりを、有建築設計舎はこれからも提案していきます。
2025/11/24(Mon)庭と住まいがつながる心地よさを感じる兼用住宅の設計
施工実績
外に一歩出た瞬間に、深く息を吸いたくなるような緑の景色。

今回ご紹介するのは、造園会社の兼用住宅として設計した、多治見・愛知・岐阜エリアでの木造住宅の事例です。
写真に映る豊かな植栽と、自然素材を活かした建築の関係が、住まいにどれほど心地よさをもたらすのか。
その印象をもとに、設計の視点を紐解いていきます。
敷地に足を踏み入れると、まず目に入るのは石畳のアプローチです。
大小の石が不規則に組まれ、まっすぐすぎず、緩やかに誘導するような道筋になっています。
直線的なコンクリートや舗装とは異なり、自然物が持つ柔らかさが歩く速度を少しゆっくりにしてくれます。
植栽の緑と相まって、訪れる人に「この家は自然と仲良く暮らしている」という印象を与えてくれます。

アプローチの両側に広がる芝生や落ち着いた高さの植栽は、建物の木の外壁とよく調和しています。
自然素材同士がぶつかり合わず、優しい風景としてまとまっていることで、視覚的にもストレスの少ない外部空間が生まれています。
特に木外壁の質感は、緑との相性が良く、四季によって見え方が変わるのも魅力です。
階段部分も印象的です。
木材を使った外部階段は直線的でありながらも重さを感じさせず、周囲の自然の中に軽やかに浮かぶような佇まいを見せています。
段板の隙間からは柔らかい光が落ち、空間に陰影をつくります。
屋外階段は設計の仕方によって存在感が重くなりがちですが、ここでは木の質感と形状のバランスによって、自然な風景の一部として溶け込んでいます。
また、建物そのものの形状にも特徴があります。
軒がしっかりと出ていることで、直射日光が入りすぎない穏やかな外観をつくり、内部にも落ち着きのある光を届けます。
パッシブデザインの考え方では、深い軒は夏の遮熱に非常に重要です。
庭と建物の距離感も、兼用住宅という用途を考えるうえで大切なポイントです。
庭へ自然に出入りできるスムーズな動線や、緑と程よく視線が交わる配置が求められます。
写真に写る木々の高さや配置は、建物のスケール感と調和しており、業務と生活が分断されすぎず、それでいて心地よく共存している印象を与えます。

周囲に広がる森のような背景の緑ともつながることで、敷地全体が大きな庭の一部になっているように感じられます。
植栽の樹形や色の違いがアクセントとなり、どこに立っても目に優しい風景が広がっている点も特徴です。
外から見た印象だけでも、毎日気持ちよく過ごせる空気感が伝わってきます。
外部空間のデザインは、住まいの快適性を大きく左右します。
特に木造住宅は素材の持つ温かさがあるため、植栽や石を合わせることで、より豊かな住環境が生まれます。
今回のように造園会社の兼用住宅であれば、庭そのものが住まいとしての魅力を何倍にも引き上げてくれる存在になるのです。
最後に、私たち有建築設計舎が大切にしているのは、環境と住まいを一体として考えるパッシブデザインです。
住まい手の選ぶ土地でどう自然と付き合い、どう暮らすのかを丁寧に読み解くことを得意としています。
今回の事例も、敷地の持つ緑の豊かさを最大限に生かし、住まいの価値に変えることを意識しました。
自然と建築が寄り添い、毎日の暮らしに深い安らぎを与えてくれる住まいだということ。
造園と建築が美しく重なり合うことで、機能性と心地よさが両立した空間が実現しました。
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