雑記 ー 2025 年 12 月
2025/12/26(Fri)タイルと木で整える、静かなトイレ空間
施工実績
こちらのお家は、タイル製造を生業とされているお施主様の住まいとして計画した木造住宅です。
住まい全体の中でも、トイレという限られた空間に対して、素材への理解と誇りをそのまま設計に反映させています。

壁一面に採用したタイルは、色味や表情に強い主張を持ちながらも、空間全体として落ち着きを損なわない構成としています。
細かな凹凸が連続することで、光の当たり方によって陰影が生まれ、時間帯ごとに異なる表情をつくります。
これは装飾ではなく、素材そのものの力を活かす設計判断です。
床や造作家具には木を用い、タイルとの対比を明確にしています。硬質な素材と柔らかな素材を組み合わせることで、視覚的にも触覚的にもバランスの取れた空間となります。木部の色味はタイルのトーンに合わせて調整し、主張しすぎない存在としてまとめています。
洗面カウンターや収納はすべて造作とし、寸法をミリ単位で検討しています。トイレットペーパーの位置、手洗い器までの距離、立ち座りの動線など、日々の動作を前提に設計を進めました。
既製品を組み合わせるのではなく、住まい手の使い方に合わせて整えることで、無理のない空間になります。

このような設計は、完全オーダーメイドの設計事務所だからこそ実現できます。
多治見・名古屋・岐阜で設計相談を行う中で感じるのは、住まい手それぞれが大切にしている価値観は大きく異なるということです。
素材への想い、仕事との関係性、日常の過ごし方。それらを丁寧に汲み取り、空間として整理することが設計の役割だと考えています。
木造住宅においても同様で、構造や性能だけでなく、どのような気持ちで日々を過ごすのかを起点に計画を進めています。
パッシブデザインの考え方を取り入れ、自然光や風の流れを活かしながら、過度な設備に頼らない住まいを得意としています。
トイレのような小さな空間こそ、設計の積み重ねがそのまま現れます。
素材選び、寸法、光、動線。その一つひとつを整えることで、住まい手にとって心地よい場所になります。
なお、年末年始の設計相談およびお問い合わせ対応につきましては、
2025年12月27日から2026年1月4日まで休業期間とさせていただきます。
期間中にいただいたご連絡については、休業明けより順次対応いたします。
本年も多くのご縁をいただき、住まい手それぞれの価値観や暮らし方に向き合う機会を得ることができました。
来年も変わらず、住まい手となる方の考え方に寄り添い、長く住み続けていただける空間を設計してまいります。
どうぞ良い年末年始をお過ごしください。
2025/12/15(Mon)玄関と仕事場を緩やかに切り替える住まい
施工実績
こちらのお家は、木造住宅ならではの構造の美しさをそのまま空間に取り込み、住まい手の暮らしと自然につながる設計を行っています。

床・天井・柱に至るまで無垢材を用い、素材の表情を隠さずに構成しています。
仕上げで覆うのではなく、構造そのものを空間の要素として扱うことで、住まい全体に一体感が生まれます。
木の色味が揃うことで、視線が分断されにくく、空間に奥行きが感じられる点も特徴です。
この住まいでは、上下階をつなぐ階段を中心に、各スペースが緩やかに連続する構成としています。
壁で細かく区切らず、構造とレベル差によって場を分けることで、視線や気配が自然に行き交います。

住まい手がどこにいても、家全体を感じながら過ごせることを意識しています。
多治見は夏の暑さが厳しい地域です。
そのため、木造住宅の断熱性能や日射への向き合い方が、暮らしやすさに直結します。
本計画では、パッシブデザインの考え方を取り入れ、開口部の位置や大きさ、室内の抜けを調整しています。
機械設備に頼り切らず、建物のかたちそのもので環境に対応する姿勢を大切にしています。
また、内部動線についても、日常の行為を一つひとつ整理しています。
玄関から室内への流れ、階段との関係、収納の配置など、住まい手の生活リズムを想定しながら、無理のない動線計画としています。

段差の扱いも慎重に検討し、空間の切り替えとして機能させています。
造作家具については、空間と一体で設計しています。
置き家具ではなく、建築の一部として計画することで、使い勝手と納まりの両立を図っています。
高さや奥行き、手触りに至るまで、日常的に触れることを前提に寸法を決めています。
岐阜・多治見エリアで木造住宅を検討される方にとって、素材の選び方や構造の考え方は、長く住み続けるための重要な要素です。
見た目の新しさよりも、時間とともに馴染んでいくことを重視し、住まい手の暮らしに寄り添う設計を行っています。
設計事務所として、私たちは設計相談の段階から、住まい手の価値観や生活背景を丁寧に伺います。
多治見・岐阜という地域性を踏まえたうえで、木造住宅の可能性を最大限に引き出すことを得意としています。
住まいは完成した瞬間がゴールではありません。
日々の暮らしの積み重ねによって、少しずつ完成していくものだと考えています。
2025/12/08(Mon)岐阜の山あいに佇む平屋の木造住宅
施工実績
こちらのお家は、岐阜の山間部に建つ平屋の木造住宅です。

雄大な山々が連なる背景に対して、建物が静かに馴染み、敷地全体がひとつの景観として成立しています。
この土地が持つ自然の魅力を損なうことなく、建築と外構を丁寧に整えた姿勢に評価をいただき、景観デザイン賞をいただきました。
外観は落ち着いた色味でまとめられ、木材の柔らかさが建物に温かみを添えています。
夕刻になると軒下からこぼれる灯りが外構に広がり、屋内と屋外がつながるような雰囲気が生まれます。
テラスに設けられた椅子や植栽が穏やかな時間を演出し、住まい手が自然と寄り添って暮らす情景が想像できます。

岐阜の山間部は積雪がある地域であるため、冬季の生活を見据えた設計が求められます。
また、建物まわりの動線がゆったりと確保され、季節の影響を受けにくい配置計画になっています。
雪の日でも無理なく移動できる余白が確保されていることは、山間部の暮らしにおいて非常に大切な要素です。
母屋の前には広い外構空間が広がり、芝や植栽が山の風景と自然につながっています。
敷地全体にゆとりがあることで、訪れる方にも安心感と開放感が生まれます。
民泊としての利用を視野にしている点でも、この余白は非常に有効で、来訪者がこの地の魅力を十分に感じながら過ごせる環境になっています。
平屋という構成は、岐阜の気候風土とも相性が良く、パッシブデザインとしても効果を発揮しやすい形式です。
軒の深さは夏の直射日光を和らげ、冬は低い日射角度を取り込みやすくするため、季節による温熱環境の変化を自然に調整する役割を果たします。
今回の住まいでも、その設計思想が建物全体に通底している印象があります。
外構の素材選びにも落ち着きがあり、石や植栽が丁寧に配置され、舗装エリアと緑のエリアが滑らかにつながり、母屋へ続くアプローチに奥行きが生まれています。
夕景の中で浮かび上がる建物の佇まいは、訪れる人に安心感を与え、静かな時間を過ごせる場所であることを感じていただける作りとなっています。
民泊を視野に入れた住まいは、住まい手だけでなく、地域の魅力を外へ開く役割も担います。

岐阜の山あいという立地は、自然を求める方にとって特別な体験を生む場所です。建物の静けさ、外構の柔らかさ、山の稜線の美しさが相まって、この土地ならではの滞在価値を高めています。
岐阜・多治見・名古屋エリアで木造住宅をご検討の方にとって、この平屋の住まいは、自然との付き合い方やパッシブデザインの考え方を知る良い参考になるはずです。
景観を損なわず、暮らしやすさを丁寧に積み重ねた住まいは、これからの家づくりにおいて大切な視点を示しています。
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