雑記 ー 設計実績
2026/09/14(Mon)愛知県長久手市の住宅展示場|木の天井と格子戸がつくるLDKの光とつながり
設計実績
愛知県長久手市に建つ、株式会社三和木の住宅展示場「光降る通り土間の家」。

今回注目したいのは、リビング・ダイニング・キッチンをひと続きにしながら、天井や建具、光の取り入れ方によって、それぞれの居場所に異なる表情をつくっているLDKです。
広いLDKを計画するとき、単純に間仕切りをなくすだけでは空間が単調になってしまうことがあります。
この建物では、木の天井や柱、窓辺の格子などを組み合わせることで、つながりを保ちながら場所ごとの性格をつくっています。
木の天井がLDK全体につながりをつくる

リビングからダイニング、キッチンへ視線を向けると、木を使った天井が広い範囲に連続しています。
公式施工事例によると、天井には桧小幅実板などが使用されています。
床にもアッシュフローリングが使われており、上下に木の素材が見えることで、広いLDKにもまとまりが生まれています。
一方で、天井はすべてを同じ高さ・仕上げで揃えているわけではありません。
キッチンまわりでは白い天井面を組み合わせ、リビング側では木の天井が大きく広がっています。
空間を壁で細かく区切らなくても、天井の高さや仕上げを切り替えることで、それぞれの場所を緩やかに分けることができます。
LDKを広くしたいけれど、リビングもダイニングもキッチンも同じような空間にはしたくない。
そんな場合に参考になる設計方法のひとつです。
格子戸で、光を取り入れながら外部との距離を調整

リビングの大きな開口部で目を引くのが、細かな縦格子です。
この住宅展示場は、実際には庭を設けていないものの、南側に庭がある住宅を想定して計画されています。
公式施工事例では、外部の木製格子戸について、夏の日射を遮るための工夫として紹介されています。
大きな窓は、室内と庭とのつながりや明るさを得やすい一方、日射や外からの視線についても考える必要があります。
そこで「窓を大きくするか、小さくするか」だけで考えるのではなく、格子や障子、軒などを組み合わせることで、外との関係を細かく調整できます。
写真でも、格子越しに外の明るさや景色を感じながら、室内側にはもう一枚の層がつくられていることが分かります。
キッチンからLDKを見渡せるひと続きの構成
キッチンはダイニングに向かって開かれ、その先にはリビングまで視線が続きます。
料理をする場所だけを独立させるのではなく、ダイニングやリビングと視覚的につなげた構成です。
写真を見ると、キッチンのすぐ前にダイニングがあり、その先にリビングが配置されています。
家の中で過ごす場所を完全に分断しないことで、それぞれ別のことをしているときにも、お互いの気配を感じやすい間取りになります。
また、キッチン横には建具で仕切れる収納スペースも確認できます。
LDKは見える範囲が広いからこそ、収納をどこに設け、生活用品をどこまで見せるかも重要です。
開放的な空間と収納をセットで考えることが、実際の暮らしやすさにつながります。
薪ストーブをLDKの居場所のひとつに
リビングの窓際には薪ストーブが置かれています。
薪ストーブの足元にはモザイクタイルが広がり、床の一部を切り替えることで、LDKの中にひとつの特徴的な場所が生まれています。
広い空間では、壁をつくらずに「ここはリビング」「ここは食事の場所」と感じられる工夫も大切です。
天井の変化、床材の切り替え、家具や設備の配置などを組み合わせれば、空間そのものは連続したまま、それぞれに居場所をつくることができます。
この建物では、木の天井や床、格子戸、薪ストーブなど、それぞれの要素を単独で見せるのではなく、LDK全体の構成の中でつないでいる点も見どころです。
家づくりでLDKを考える際には、単純な「広さ」だけではなく、どこからどこまで視線が通るのか、光をどう取り入れるのか、ひと続きの空間にどのように居場所をつくるのかまで考えてみると、間取りの選択肢が広がります。
この住まいの通り土間や外観、ほかの空間については、「光降る通り土間の家」公式施工事例ページでご覧いただけます。
LDKの広さだけでなく、光や視線、素材、外部とのつながりまで含めて考えることも、住まいを設計するうえで大切なポイントです。
2026/09/06(Sun)長野県阿智村の自然を身近に感じる、デッキとつながる一棟貸し宿泊施設
設計実績
長野県阿智村園原に建つ、一棟貸しのグランピング施設「mokki stardust glamping」。
今回ご紹介するのは、山の景色に向かって開かれたダイニングとデッキ、そして吹き抜けがつくる空間のつながりです。室内にいながら自然を近くに感じ、滞在する人が思い思いの場所でゆったりと過ごせるよう計画しています。

ダイニングからデッキ、山の景色へ
ダイニングの正面には、壁面いっぱいに近い大きな開口を設けました。窓の先にはウッドデッキが続き、その向こうに阿智村の豊かな緑が広がります。
床から立ち上がる大きな窓によって視線が屋外まで自然に抜けるため、室内とデッキが分断されず、一つの空間のように感じられる構成です。天候や時間帯に合わせて、室内で食事を楽しんだり、デッキで景色を眺めたりと、過ごし方を選べます。
ダイニングを単に食事のための場所とせず、自然を眺めながら滞在の時間を共有する中心として計画していることも、この施設の特徴です。
木の質感を連続させた内外の設計

室内の床には桧を使用しています。さらに、開口部の間に見える外壁やデッキにも木を用いることで、窓越しに眺めたときにも内外の素材感が滑らかにつながります。
大きな窓を設ける際は、開口の広さだけでなく、その先に何が見えるか、室内と屋外の仕上げをどのようにつなぐかも大切です。この建物では、山の緑を主役としながら木の色や質感を重ね、周囲の自然になじむ空間を目指しました。
吹き抜けの先まで続く桧の天井

ダイニングに隣接する空間には吹き抜けを設け、上下階の気配が緩やかにつながる構成としています。
視線を上げると、勾配に沿って張られた桧の天井が広がります。高さの変化と木目の連続によって、床面積だけでは表せない奥行きが生まれました。黒い手すりや梁は空間を引き締め、桧の表情を際立たせています。
一方で、建物全体は高さを抑えて計画しています。ダイニングの落ち着いた天井高と吹き抜けの高さを組み合わせることで、くつろぎと広がりの両方を感じられる空間としました。
阿智村の山並みや星空を楽しむためには、景色に向かって大きく開くだけでなく、室内で過ごす場所の高さや素材、屋外への動線まで一体で考えることが重要です。
有建築設計舎では、住宅はもちろん、宿泊施設や店舗などについても、その土地ならではの環境と過ごし方を読み取りながら設計しています。自然を活かした建物をご検討の際は、ぜひご相談ください。
2026/08/30(Sun)多治見市の木造住宅|仕事場と住まいをつなぐ、下屋のある「明和の家」
設計実績
岐阜県多治見市に建つ「明和の家」は、ご夫婦それぞれが主に自宅で仕事をされる暮らしに合わせ、居住スペースと仕事スペースの両立を考えた木造住宅です。

今回の写真で注目したいのは、母屋と離れの作業場をつなぐ下屋と、杉板をまとった外観です。
仕事と暮らしを完全に切り離すのではなく、互いの気配をほどよく感じながら行き来できる構成としています。
母屋と作業場をつなぐ半屋外空間
母屋と離れの間には、屋根のある半屋外の作業スペースを設けました。

屋内に取り込むほどではない作業や、外で使用する道具の一時置きなど、住まいの外側にこうした余白があると、仕事の仕方にも柔軟性が生まれます。
屋根があることで天候の影響を受けにくく、玄関から作業場への移動もしやすくなります。仕事場と住まいの間に、内でも外でもない空間を挟むことが、両者を自然につなぐ役割を果たしています。
玄関まわりに奥行きをつくる下屋
深く張り出した玄関屋根は、雨を避けるためだけのものではありません。

柱や軒裏の木を見せることで、杉板張りの外壁と調和した落ち着きのある玄関まわりにしています。道路側から玄関扉が直接見えにくくなり、住まいへ入る前のワンクッションとしても機能します。
下屋が連続することで、玄関、半屋外の作業場、離れがばらばらにならず、一つの建物としてまとまりのある外観になりました。
杉板と金属外壁を組み合わせた外観
母屋の外壁には、押し縁を施した杉板を採用しています。杉板には、建主様ご自身でウッドロングエコを塗装されました。
時間の経過とともに表情が変化していく木の外壁は、周囲の植栽や景観にも少しずつなじんでいきます。
一方、離れの作業場には金属系の外壁を使用。用途の異なる建物を素材によってさりげなく区別しながら、屋根や下屋をつなぐことで全体の一体感を持たせています。
景観を生かす2階の居住スペース

敷地の東側に広がる眺望を生かすため、LDKは2階に配置しました。
写真からも、庭側に向かって大きく開く窓とバルコニーが確認できます。東側の景色を室内へ取り込みながら、南側の大きな窓から冬の日射を得られるよう計画しています。
仕事場を含む1階と、くつろぎの中心となる2階。上下階で役割を整理することで、自宅で仕事をしながらも生活に切り替えやすい構成となっています。
住まいと仕事場を一緒につくる場合、必要な部屋数だけではなく、行き来の仕方や音、視線、屋外とのつながりまで考えることが大切です。
有建築設計舎では、仕事の内容や一日の過ごし方、敷地の景観などを読み取り、それぞれの暮らしに合った住まい方をご提案しています。自宅兼仕事場や離れのある家を検討されている方も、ぜひご相談ください。
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