雑記
2026/01/13(Tue)成長に寄り添う居場所をつくる子ども部屋の設計
施工実績
こちらのお家は、木の素材感を大切にしながら、住まい手の成長に合わせて使い方が変わっていく空間構成を意識した木造住宅です。
子ども部屋というと、どうしても今の年齢や好みに目が向きがちですが、設計の視点では「この先どう変わっていくか」を丁寧に考えます。

室内は勾配天井によって縦方向の広がりを持たせ、床には無垢材を用いることで足触りと温度感を整えています。
天井高さに変化をつけることで、面積以上の開放感を確保しつつ、落ち着きも失わないバランスをつくっています。
高い位置に設けた横長の窓は、視線が外に抜けすぎない高さに抑えながら、安定した自然光を取り入れる役割を担います。
直射日光に頼らず、時間帯によって緩やかに変化する光は、集中する時間と休む時間の切り替えを自然に促します。
これは名古屋エリアや多治見、岐阜といった地域で木造住宅を設計する際にも共通して意識している点です。

家具は造作を基本とし、机や棚は部屋のサイズに合わせて納まりを整えています。
既製品を置く前提ではなく、最初から居場所として計画することで、余計な圧迫感を生まない空間になります。
子ども部屋は物が増えやすい場所だからこそ、収納の位置と量を最初に整理しておくことが重要です。
階段部分には備え付けの本棚を設け、動線の中に自然と本がある環境をつくっています。
本棚は単なる収納ではなく、暮らしのリズムをつくる装置です。
階段を上り下りする中で手に取れる距離にあることで、読む行為が特別なものになり過ぎず、日常の一部として溶け込みます。
このような配置は、居室を広く使うための工夫でもあります。
部屋の中にすべてを詰め込まず、家全体で役割を分担することで、空間に余白が生まれます。
余白は成長のための余地であり、使い方を限定しない設計につながります。
将来的に子ども部屋の役割が変わったときにも、勾配天井や窓の位置、造作家具の考え方はそのまま活かせます。
寝室、書斎、趣味の部屋など、用途が変わっても無理なく受け止められる構成です。
パッシブデザインの視点から見ると、断熱と通風の考え方も欠かせません。
高い位置の窓は空気の流れを助け、季節ごとの温熱環境を整える役割を果たします。
設備に頼り切らず、建物の形そのもので快適性をつくることは、長く住み続けるうえで大きな意味を持ちます。
設計事務所として大切にしているのは、住まい手の暮らしを一時点で切り取らないことです。
今の便利さだけでなく、数年後、十数年後の変化を想像しながら線を引き、寸法を決めています。
名古屋を中心に、多治見や岐阜で木造住宅や設計相談を行う中で、子ども部屋に対する考え方は年々変わってきています。
個室であること以上に、家全体とのつながりや、時間の重なりをどう受け止めるかが問われるようになりました。
静かに集中できる場所と、家族の気配を感じられる距離感。
その両立を目指しながら、木造住宅ならではの素材と構成を丁寧に組み立てています。
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